たとえ劣勢にあっても、逃げないこと。
たとえどんなに負けていても、
自分は勝てると、
いつも信じなくてはならない。
          
       タイガー・ウッズ(ゴルファー)


いい言葉ですね。
渦中のタイガーですが…

若い先生方に相談を受ける際、

良くならないんです…
変わらないんです…

なんて相談をたまに聞きます。

細かく聞いていくと、
最終的には

分からないです…

なんて感じの先生もいます。


セラピストが投げたら
患者さんは何を頼りに
自分の身体を良くしないといけないでしょうか?

わずかな可能性を見出せるように
そしてそれを見つけられるように

一緒に勉強しましょう★

やる気のある人は。


ということで
今日のリハビリで
変化のあった患者さんについて
書こうと思います。

長いので、
お時間がある方はお読みください


題名のように

自分の身体に気づく
ことで動きが劇的に変わった患者さんがいました。


40代の男性の方で
スポーツ中、高い所からジャンプをした際に転倒
大腿骨転子部の3partに骨折をされた方です。

2月下旬に受傷され、
こちらの病院に来るまで現地の病院で1W牽引、
その後地元がこっちなので
こっちに来て髄内釘のopeまでさらに1W、
ベッド上で寝たきりの方でした。

ope後より全荷重が許可されましたが

もう全く下肢が力の入らない感じで…

現在3W目ですが、先週ー2W目までは
患側下肢はパンパンに腫れていて
随意的な運動はほとんどなく、

下肢の重さを完全に介助することで
何とか筋収縮が発揮されるレベルでした。

しかも大腿直筋とハムストリングスのみ…

痛みもずっと強かったためか
大腿直筋は持続的な筋攣縮と短縮もあるような状態でした。

そのため病棟では松葉杖にて自立してますが
患側下肢は常に屈曲しており
足を過度に底屈固定し、
前足部のみで支持しているような状態。

そして
先週末くらいから何とか介助なしでも
下肢の運動が出てきました。
といっても下肢を挙上させることは不可能でした。

それまでは認知的なアプローチ、
というよりも
まずは患側の腫脹を軽減させること
現状の状態でまずは病棟ADLを自立し、
患側荷重は困難でも
動ける体力を維持すること

を目的に進めていました。

何とか病棟でも松葉杖で自立した生活が送れるようになり、
炎症反応が軽減し、わずかに下肢の運動が出てきたので
今週からは患側下肢の機能改善、
をメインにアプローチしよう!
と方針を決めました。


ここからは、昨日、今日のアプローチの話しです。

Body imageは
一言でいうと
痛みで動きを判断している
という感じですね。

ope創は中殿筋付近から髄内釘を、
大転子、そして大腿骨遠位外側部からスクリューを入れたため
3か所に創部があります。

特に痛みのあったのは
大腿直筋の伸張痛と
大腿骨遠位外側部の創部の伸張痛ですね。

股関節を屈曲しようとすると大腿直筋(以下、RFとしますね)
で頑張り、
膝を他動的に屈曲すると90°程度でRFの伸張痛が出る状態でした。

股関節周囲は腫脹もあり、腫れぼったい感じ以外の感じ
…他動的に股関節を動かしても本人はよく分からず
動かそうとするとまたRFの過緊張から痛みが出る…
なんて状態でした。

まず今回の受傷でメインの問題になるのは
股関節のimageが完全になくなってることだろうな

とは思うのですが、

股関節自体にアプローチしても
RFの伸張痛に捉われている状態でした。
そこ以外に注意は向かないんですね。

先週から腹臥位などで
自己にてRFのストレッチをお願いしていたので
短縮は軽減してます。

でもこの患者さんの
利用する情報はRFの伸張痛なんですね。
だから安静時の過緊張は軽減しても、
結局、股・膝関節を動かす、または動かそうとすると
RFを高めて、あえて伸張痛を出すことで
下肢を動かしていると感じていたり
膝が曲がっていることを感じているようでした。

そこで治療展開は
股関節のbody imageの再構築の前に
準備としてRFの過緊張を軽減すること

としました。

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以下は今日の治療の流れです。
T:セラピスト(私、管理人です)
P:患者さん

【背臥位】
T 今日は脚動きそうですか?
P やってみます…(膝立て。ハムストの努力性高い)
  これ以上は膝が曲がらないですね(膝屈曲90°程度)

T 痛くて曲がらないですか?
P そうですね、この辺(大腿骨前面の遠位1/3付近、大腿直筋)
  が突っ張ってこれ以上は痛くて無理です。

T ですよねぇ。じゃあ反対の脚って同じ場所どんな感じがします?
P (健側下肢を膝立てして)う~ん、なんか伸びる感じ

T じゃあこっち(患側)は?
P 縮んだまま、って感じかな

T 僕もそう思います。そりゃ縮んだまま引っ張られたら痛いですよね
  (RFを軽く遠位に引っ張るよう触る)
  こうしたらもう少し曲がりそう?
P 何か、そんな感じがします

*いきなり曲げることはしません。RFが伸びるような感覚を入れた際、
 患者さん自身が膝が曲がりそうか、
 考えてもらうことで運動イメージを促します。
 ここで曲がりそうなイメージがなければ
 また違う仮説を立てる必要があります。

T じゃあ、痛くない範囲で脚もう少し曲げてみて下さい
P (膝屈曲115°まで曲がる)こんな感じですかね。

T 大分曲がりましたね
P そうなんですか…?

*あまり実感はない様子。

T 今、115°です。(角度計を見せる)
P そんなに曲がってるんですね。
  でもあんまり感じないんですけど…

T まぁ膝曲げる度に何度曲がってるかなんて気にしませんもんね
  痛みはあります?
P いや、大丈夫ですよ

T じゃあ自分で何度か膝曲げたり伸ばしたりして下さい
  別に力入れる必要はないです。ここ(RF)が伸びてくように
  動かして下さい
P はい。
 (繰り返していく中でRFは高まらずに大分スムーズに動く)

P (股関節前面部を触って)この辺が疲れますね。
  (この段階で腸腰筋の収縮出現してくる)
T 反対側はどうです?
P 同じ場所が動いてるって感じです。
T そんならばっちりです。

*この患者さんの場合では膝立て、の動きでは膝、を動かそうとしていて
 そのために膝周囲、RFに過剰に意識を向けて動かしている印象。
 そのRFが伸びるように意識することで、
 意識下でRFの筋攣縮に抑制をかけ、
 その中で下肢屈伸運動をしていくことで
 自然に股関節での動きが出現してきたと考えてます。

T じゃあもう少しレベルアップしてみましょう
  その状態(両膝立て位)でもも上げできます??
  ここ(股関節)を使ってやってみて下さい
  片脚ずつ交互に。
P あ!!できた!!(患側でも股90°屈曲位までもも上げ可能)
  昨日まで全く動かなかったのに。

T さすが。良い感じですね。今ここ(RF)は痛みます?
P 全然大丈夫です。不思議ですね。

T いつも無意識にここ(RF)に力を入れる、
  のが癖になってるんでしょうね。
  まぁ股関節の部分が折れてたから体が
  痛い所使わないようにしてたんでしょうね。
  だから体が股関節を使う、ってことを
  忘れてるような状態なんですよ。
  だからできれば今日からはベッドとかでも暇があれば
  いつでも股関節を使う、ってことを忘れないように
 今みたいにベッドでもやれるといいですよ。
P へぇ。たった2週間でもこんなに動かなくなっちゃうんですね。

T そうなんですよ。明日忘れないようにしてて下さいね(笑)
P 頑張ります(笑)

**************************

とこんな感じです。
本当はもっと色々やってます。
筋出力のコントロールの仕方とか
立位での重心コントロールの方法とか。

まぁそんなことはいいとしてですね。

大事なのは
整形疾患でも
Body imageは崩れるし
注意や感覚にも異常が起こる、ってことですね。


自分の身体をどう動かしているのか
そしてどう動かすと痛みが出たり
どう動かすと楽に動くのか?
という、いわゆるコツをつかむことで
昨日できなかった運動が瞬時にできるようになります

筋力低下ではなく
どのように身体を使うかが分からない
んじゃないでしょうか?
その患者さんの気づいていない部分に気づいてもらい
患者さんが勘違いして覚えてしまっている部分に
気づいてもらえるような援助ができると良いですね。


来年度の勉強会はまだ未定です。
嫁が仕事復帰するので
嫁の予定にも左右されるため
今までのように毎月定期的に、
という訳にはいかないかもしれません。


辞める気はさらさらありませんが。

また来年は他の勉強会とのコラボも
いくつか考えています。

うちのボスのとこの勉強会や
相棒のやっている勉強会とのコラボの話しも頂いています。

実現するしかないですね★


さらに成長していきます。
来年度のBridgeは

脳科学から運動療法を考える

なんてのが自分の中でもテーマです。

お楽しみに☆