目標が高くなれば意識も高くなる。
ひとりができるようになると、
皆ができるようになってくる。

           室伏広治(ハンマー投げ)



1月勉強会、30名程の参加を頂いています★
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ということで、
今日のテーマは体幹の役割です。

これは
2/19に講演させて頂く、
ASRINでの自分のテーマです。


自分の考えをまとめている最中で、
混乱しないために、記事にしていこうと思っています。


当日の資料作りのためにも、
分かりにくいところ、ご意見など、
コメント頂けると幸いです。



ではでは本題に。

【体幹の役割】
①胸郭~骨盤をつなぎ、力の伝達・吸収を行う
②手足の運動が円滑に目的を遂行できるための基盤となる
③頭頚部が安定した視覚・前庭情報を取り入れられること。


①、②は役割が重なる部分もあります。

①胸郭~骨盤をつなぎ、力の伝達・吸収を行う

胸郭~骨盤間の力の伝達は、寝返りや起き上がり、投球動作のように、身体上部の動きや力が下部に(逆の場合もありますが)伝えられる、という”つながり”を持つことです。

片麻痺や廃用の患者さんではこれが上手くできず、手で引っ張るけども骨盤が回らない…、といったことがあります。投球動作も同じですが、腰の捻りを上手く上部体幹へと伝え、上肢へと伝えることで球威が増す(はずです)。


力の吸収はAPA(先行姿勢調節機構:Anticipatory Postural Adjustments)が分かりやすいでしょうか。
上肢を挙上する際に先行して体幹筋が収縮し、体幹が前方へと引っ張られないように準備をしておく、というような感じですね。

歩行では、立脚初期~立脚中期にかけ、体重が急激にかかる際、足底から下肢を伝わり、その力が骨盤を突き上げるように働きます。でも自分たちは骨盤を大きくグラつかせることなく、その下肢で支持し、反対の下肢が振り出せるよう、骨盤を安定させています。

それはその衝撃を腹圧と脊椎構造により上手く吸収している、とも考えられます。



②手足の運動が円滑に目的を遂行できるための基盤となる

教科書的には四肢の運動の基盤となる、ことです。これは前述したAPAにもいえることです。
空間で手足が動く際の重さや慣性力を上手く吸収し、かつ支持面に対して安定した胸椎~骨盤(端座位では臀部、立位では足底)のつながりを持つことで、スムーズな手足の動きが可能になります。

そして体幹はただ姿勢をある位置の留める、ためだけではありません。
行為は動的です。端座位のリーチングにおいて、上肢だけで届かなければ、体幹を傾け、回旋することで目標物に達します。体幹は保持するだけでなく、支持面に対し骨盤~胸郭のつながりを保ちながら、その動作に参加することもあります。

片麻痺や下肢整形疾患の方ではそれが顕著に現れます。上肢の重度麻痺であれば、上肢の挙上を肩甲骨を挙上したり、体幹を側屈して、挙げようとします。下肢の麻痺は筋発揮の低下があれば歩行で骨盤を挙げたり、体幹の振りを使って下肢を出そうとします。ある意味、体幹の参加です。


③頭頚部が安定した視覚・前庭情報を取り入れられること

安定した視覚・前庭情報…曖昧なのでもう少し説明します。

重力下では体幹機能は頭頸部の正中位保持を助けている。
頭頸部はあくまで自己身体が移動した際の視野流動、オプティカルフローや前庭系の加速度の感知により自己身体の状況や環境の中でどう自己身体が動いているかを受動的に感じとるセンサーだと思う。

頭頸部は重力下において自己身体がどうなっているのか?
どの程度、どれくらいの速さで動き、傾いているのかを感じ取るための役割が大きいと思う。

その役割を保つための働きとして立ち直り反応が存在していると思う。

だから端坐位で重心を一側に移した場合、単純に対側に側屈するのが立ち直り反応、という訳ではなくて、あくまで頭頸部・肩甲帯を水平位に戻す、または保持することが良い立ち直り反応と考えてます。

肩甲帯を水平位に保つ、というのは例えばスガキヤのラーメンをお盆に載せてテーブルまで移動しながら運ぶ際に、身体の動きとは独立し、汁をこぼさないように制御する上肢の運動の自由度が保障されているということ。

そのために立ち直り反応は支持面~下肢~体幹レベルの働きで自己身体のバランスを制御できる必要があると考えています。

若いセラピストが立ち直り反応や脊柱のバランスの改善を促すために坐位で左右の重心移動を行う場合、
ただ脊柱の対側への側屈を観察していることが多いように思います。

でもそれを頚部の対側側屈や肩甲帯の挙上などの過剰努力で遂行している場合、
見た目は似ているけど、そこに本来の頭頸部や肩甲帯の役割は発揮されないことになる。


そして見た目は良いから、それをセラピストがいいよ!なんてゆうてしまうと、患者さんはそのパターンが良いんだ!と勘違いし、さらにそれを強めてしまう。

でも結果的にそれは頚部・肩甲帯でのコントロールなため、結果的に体幹機能は改善されず、立位や歩行など、たの場面での体幹の働きにはつながらないことも多くあるように思います。

それは体幹の反応を改善するリハビリではなく、ただ立ち直り反応っぽい動きを頚部・肩甲帯で代償する練習、になっているのかもしれません。

実際に臨床では脳卒中や下肢整形疾患患者さんでも、
下肢での重心移動能力を失った患者さんは頭を動かすことで本来受動的に用いられる視覚、前庭情報を能動的に変化させることで重心移動をしていると錯覚する。

それが日常的なパターンになることで、下肢の機能は使われないまま、頭部を傾けるために体幹が使われる重心移動パターンが学習される。



説明が分かりにくいですが、
自分の考える体幹の役割は頭部をセンサー機能として活用できる能力を保障するために働くことです。
この代償パターンは頭部を積極的に動かし、視覚・前庭情報の変化から自分の動きを感じようとするために体幹を動かしてしまう、ということが問題な訳です。



ということで今日はこの辺で。

体幹を説明するためには体幹にくっついているもの…全ての役割を考えないといけません。

それらの役割を円滑に果たすために体幹は頑張っています。

それらの役割を考えずに、体幹だけを治療しても、頭頸部・四肢の役割は果たせないかもしれません。


そして体幹は意識下での制御が多い部位です。
自分の目で体幹の動きを見ることはできません。
四肢遠位部とは違って。

そこが臨床においてすごく難しく、重要な所です。


言葉で説明しても上手くできない…

さらに上手くいったとしても本人が視覚的に確認できない…

これが体幹の特徴です。

また気が向いたら続きは書こうと思います★

最後までお付き合い頂きありがとうございました(__)