現状に対して責任転嫁をしている限り、
ほかの道を選択しても結果は同じである。
              
          スティーブン・R・コヴィー(経営コンサルタント)


メールでのご質問や悩み、
後輩からの話でも

「リハビリに対してのやる気がないんです」
「リハビリを拒否される患者さんがいるのですがどうしたらいいですか?」


みたいな話をたまに聞きます。

もちろん、様々な方がいらっしゃるので一概に言えませんが…


患者さんがリハビリを拒否されたり、やる気が感じられない場合

それは患者さん自身の問題なのでしょうか?


セラピストの関わりが
その方にとって
やる気を奪ったり、拒否したくなってしまうような状況や経験を作ったのではないか?

とも考えられます。


またその患者さんは
毎日、どんな状況でも、どんな人が関わっても
同じ表情で、やる気がなく、拒否的なのでしょうか?


そう思い直すと、

意外に家族といる時は表情が良いし、よく喋ってるなとか
食事のときは自発的に食べてたりするなとか
午前中は拒否が多いけど、午後は意外に穏やかだなとか
看護師のAさんが部屋持ちの日にはあまり拒否した、って話を聞かないなとか


やる気がない、拒否するだとか
笑顔が多い場面に
共通するルールがあったりします。


拒否がある、やる気がないという表面的な事柄でなく、

なぜそうゆう行動をとるのか?

という原因を考えないと解決にはつながりません。


普段のリハビリもそうですよね。

なぜ姿勢が傾くのか
なぜ跛行になるのか
なぜリハビリでの課題が学習されないのか

非対称な姿勢
跛行
学習されない

といった結果だけに目を奪われるのではなく
なんでそうなるのか?

を常に考えることが大切だと思います。



話を戻します。


なぜ拒否ややる気の低下が起こるのか?

患者さんの全員がはじめからやる気がなかったり拒否していた訳ではないはすです。


初めは努力して何とかしようしたはずです。

だけどその努力を認められず、
逆に必死に歩いたにも関わらず
歩き方が悪い、そんな歩きじゃいけないと言われた。


また普段の頑張りを誰にも褒められたり、気づいてもらえなかった

リハビリを頑張っているけど全然望んだような変化につながらない

リハビリしても怖いし、痛いだけ…

リハビリで何やってるかよく分からない…


セラピストの関わりでもこんなことがきっかけで
患者さんのやる気を奪っているのかもしれません。



そこで大切なのは
(拒否に限らず、リハビリ全般に言えるかもしれませんが)


患者さんのニードや思いを知っているか?


だと思います。


骨折の患者さんで
痛みが強すぎて服がこすれるだけでも激痛が走るのに

全荷重の許可が出たからと
急に起こし、急に立たせるPT


本当は歩く練習がしたいのに
意味も分からず仰向けに寝かされ
脚をモミモミされる…


患者さん自身がリハビリに求めることを
知らずして何を提供できるんでしょうか?


カレーが食べたくてカレー屋に行き
まろやかシチューが出てきたら

二度とその店にはいかないかもしれません。

逆にその魅力に取り憑かれる人もいるかもしれません。

そしてこの例えは全く持って意味がないですが(笑)



ニードと提供されるものがズレている

提供されたものを繰り返してもニードの獲得にはつながらない

その予測と報酬とのズレが

拒否ややる気の低下につながっているかもしれません。



患者さんのニードを知ること、知ろうとすること

わずかな表情や生活の変化を見逃さないこと

まずはこれが大切なんじゃないでしょうか。


拒否する、やる気のない患者さんがいる

のではなく

拒否させるようなことをしている
やる気を低下させるようなことをしている

セラピストがいるのかもしれません。