さりげなく支えるのが本当の優しさだと思う
中丸雄一
今日は新人さんが素晴らしい関わりをしていたので、ツイッターにつぶやいたところ大きな反響がありました★
では本日のツイートを………
管理人:
なんかものすごい難しい理論で介入するより前に、
患者さんの髪や服が乱れていないか、
ベッドの上に布団やらクッションが散乱していないか。
患者さんの杖を床に無造作に置いていないか。
リハビリの前に当たり前のことをやっているかどうか。
患者さんや家族はそんな所を見ています。
今日新人さんが、患者さんでまだ自分で起きることができず、
時計も毎日のスケジュールも分からない…という訴えに対して、
寝た状態で時計を見える位置に起き、
ずれても直せるようにテープで置く位置を指定したり、
寝たままでもスケジュールを確認できるよう表を作っていました。
某有名介護士のAさん:
整理整頓による機能的な環境設定であったり、整容によってその人の自尊心の回復を促したり、まさにそれはリハビリテーションですね!
管理人:
ただベッドから出て立ったりするのがリハビリじゃないですよね。
毎日の生活の中で自分のスケジュールを管理する、そのきっかけ作りも大事なことだと思います。
どうしたら見やすくできるか、
どうしたら使いやすくなるか一緒に後輩と患者さんと考えました★
この方はRA、THA、片麻痺で認知面はしっかりされているのに動けないからと皆様が寝たきりの方のように関わっているために、余計認知面が下がっているようにみられてしまっていたんです。でもいざ話しをしてみると…
時計も見えないしリハの時間も分からない。だから寝てるしかないんだと…まだ座位も長時間は難しい…ということはその方の生活の多くはベッドなんですね。そこから得られる情報すら得られない環境にあったんです。
その新人さんはすぐに行動に移せる子なんですごいです。運動で何とかしようというだけでなく、環境への配慮が新人さんからできるのは素晴らしいことですよね★
Sくん(前病院の後輩):
簡単じゃないですよ。
セラピーではないのかもしれませんが、そーゆー配慮ができるセラピストって尊敬しますね。
教育どうこう以上に、もうその人の人間性という事なんでしょうか。
年長者はどうやってそれに感化されるんですかねー
Aさん:
他者の認識によって、その認識に基づいた関わりが生まれて、
やがては本当にそうなってしまうということ。
だからこそ、セラピストは印象や先入観の怖さを理解して、
実在のその人を常に見つめ直す努力が必要ですね。
管理人:
意外に多いと思いますよ。
難聴の方や元々発語の少ない方、失語があり話したがらない方。
言語のコミュニケーションは話し手側が相手の立場を想像する力が乏しいと、
反応が少ない方、とのレッテルを貼りがちな印象です。
Aさん:
人間にとって最も影響力のある環境因子は、周囲の人間ですね。
レッテルは初めのうちは誤解の範疇ですが、
やがてはそのレッテルに適応するようになる。
誤解が事実を創り出してしまうんですね。
だからこそ人間中心のリハビリテーションを望みます。
Sくん:
周囲の人間がその人自身を決定してしまうかもしれないんですね。
今後いかにロボティクスが発展しようと、支援する人がいなくなるわけないと信じてます。
リハビリは人の仕事です!
Aさん:
人間が他者を判断する時に、第一印象が大きなウエートを占めますよね。
認知面が低下していて、寝た切り状態に思われていたその人は、
ともすれば、他者のそうした認識によって、
やがては本当に寝た切りになり、認知面が低下したかもしれません。
Sくん:
臨床上少なくない話だと思います。
今回の新人さんのような働きかけは、関わる人みんなにメリットがある、いわゆるwinwinの環境を作り出したんですね。
新人さんのその手間は何倍もの効果を生むかもしれませんね。
*********
いかがでしたか?
意外に多くの方が経験していると思います。
こちらのアクションに対して、反応が悪い場合に
一方的にこの方は認知面が低下している、とか理解が乏しいと判断してしまうことは危険です。
もしかするとこちらのアクションの仕方が悪かったのかもしれない、という可能性も持つことは大切だと思います。
今回の新人さんの関わりによって
患者さんは長く過ごさざるを得ないベッド上での生活で、
時間を知る、というきっかけを作ることができるかもしれません。
今の時間を知り、リハビリやお風呂の時間を知ることで、
あと10分後だから、トイレに行っておこうかな、とか
あと30分あるから少し休憩しようかな、と
自己管理にもつながってきます。
今、何時かも、そして何時からリハビリが始まるか分からなければ
ベッドにいれば眠くなってしまい、
眠りにつく直前でセラピストが
「リハビリでーす」ときても、
心身ともに眠ろうとしていれば
ぼーっとしながらリハビリを行うことになるかもしれません。
そうすればリハビリも積極的に行えず、
反応の悪い患者さんを見て
「この人はいつもリハビリの時眠そうだな」
「あんまりリハビリできないな」
なんてまた間違ったレッテルを貼ってしまい、さらなる悪循環に陥るかもしれません。
時間の管理に関わらず、
患者さんの立場に少しでも寄ろうとする、思いがあれば
今の患者さんが直面している問題を発見しやすくなるかもしれません。
時間の管理に関しては
失語の方で、
8:40という記載であれば理解できるけど
20:40という記載では何時かよく分からない、という患者さんもいます。
居室のリハビリ時間の記載してある紙に
理学療法
14:00〜15:00
と書いてしまうと
その患者さんは結局何時からリハビリか分からなくなってしまうんですね。
でもその方は、
リハビリが何時からかよく分からないけど、あることはその表を見たら分かる。
でも時間は分からない。
そわそわしてしまい、ストレスになる。
イライラしてきた所で、リハビリが始まる。
ただでさえ失語がありストレスを感じ、時間も分からずイライラしてきた所でリハビリ、
ばっちりできると思いますか?
あと最後にもう一つ。
今日自分が関わったことです。
朝一番に
リハビリをする患者さんを迎えに部屋へ行くと
隣の部屋の患者さん(気管切開をしているため声が出せない方)が
洗面台で手招きをしている。
「どうしました?」と行くと、
歯ブラシとコップをとって、とのこと。
その方は、運動失調のある方ですが、車椅子にてADLは自立しているため、
歯磨きも自立、つまり看護師さんや介護士さんは手伝ってくれないんです。
で洗面の歯ブラシを探すと、一番手の届きにくい棚の一番高い、さらに奥にその方の歯ブラシなどを置くスペースがありました。
「ここじゃ届きにくいですよね」
「でもBさんは比較的体も動くし、あたまもしっかりされてるから誰も手伝ってくれないですよね…」
「でも歯ブラシできても、ここ(奥の棚)にあったら、歯ブラシとれないですよね」
「今から、看護師さんに場所変えてもらえないか相談します!」
と担当でもないのに勝手に看護師さんに相談(笑)
その看護師さんは動きが軽いためにすぐに介助で行う他の方と棚の位置を変えてくれました★
午後、その方が担当のPTとリハビリ室に来た時に
『ありがとーーーー』と口パクで笑顔で言ってくれました。
できる、動ける人、と看護師さんから思われているその方は、歯ブラシを取るくらいで呼ぶ、ということに抵抗があったのかもしれません。
そしていつも何とか必死になって歯ブラシを取っていたんだと思います。
3食の食後のたびにそんなストレス。
もしかしたらそれで転倒していたら、さらにその方の自信を奪ってしまうかもしれませんよね。
時間が分かるようにする。
歯ブラシを取りやすくする。
そんな簡単なことでも、患者さんの表情は見違えるかもしれません。
中丸雄一
今日は新人さんが素晴らしい関わりをしていたので、ツイッターにつぶやいたところ大きな反響がありました★
では本日のツイートを………
管理人:
なんかものすごい難しい理論で介入するより前に、
患者さんの髪や服が乱れていないか、
ベッドの上に布団やらクッションが散乱していないか。
患者さんの杖を床に無造作に置いていないか。
リハビリの前に当たり前のことをやっているかどうか。
患者さんや家族はそんな所を見ています。
今日新人さんが、患者さんでまだ自分で起きることができず、
時計も毎日のスケジュールも分からない…という訴えに対して、
寝た状態で時計を見える位置に起き、
ずれても直せるようにテープで置く位置を指定したり、
寝たままでもスケジュールを確認できるよう表を作っていました。
某有名介護士のAさん:
整理整頓による機能的な環境設定であったり、整容によってその人の自尊心の回復を促したり、まさにそれはリハビリテーションですね!
管理人:
ただベッドから出て立ったりするのがリハビリじゃないですよね。
毎日の生活の中で自分のスケジュールを管理する、そのきっかけ作りも大事なことだと思います。
どうしたら見やすくできるか、
どうしたら使いやすくなるか一緒に後輩と患者さんと考えました★
この方はRA、THA、片麻痺で認知面はしっかりされているのに動けないからと皆様が寝たきりの方のように関わっているために、余計認知面が下がっているようにみられてしまっていたんです。でもいざ話しをしてみると…
時計も見えないしリハの時間も分からない。だから寝てるしかないんだと…まだ座位も長時間は難しい…ということはその方の生活の多くはベッドなんですね。そこから得られる情報すら得られない環境にあったんです。
その新人さんはすぐに行動に移せる子なんですごいです。運動で何とかしようというだけでなく、環境への配慮が新人さんからできるのは素晴らしいことですよね★
Sくん(前病院の後輩):
簡単じゃないですよ。
セラピーではないのかもしれませんが、そーゆー配慮ができるセラピストって尊敬しますね。
教育どうこう以上に、もうその人の人間性という事なんでしょうか。
年長者はどうやってそれに感化されるんですかねー
Aさん:
他者の認識によって、その認識に基づいた関わりが生まれて、
やがては本当にそうなってしまうということ。
だからこそ、セラピストは印象や先入観の怖さを理解して、
実在のその人を常に見つめ直す努力が必要ですね。
管理人:
意外に多いと思いますよ。
難聴の方や元々発語の少ない方、失語があり話したがらない方。
言語のコミュニケーションは話し手側が相手の立場を想像する力が乏しいと、
反応が少ない方、とのレッテルを貼りがちな印象です。
Aさん:
人間にとって最も影響力のある環境因子は、周囲の人間ですね。
レッテルは初めのうちは誤解の範疇ですが、
やがてはそのレッテルに適応するようになる。
誤解が事実を創り出してしまうんですね。
だからこそ人間中心のリハビリテーションを望みます。
Sくん:
周囲の人間がその人自身を決定してしまうかもしれないんですね。
今後いかにロボティクスが発展しようと、支援する人がいなくなるわけないと信じてます。
リハビリは人の仕事です!
Aさん:
人間が他者を判断する時に、第一印象が大きなウエートを占めますよね。
認知面が低下していて、寝た切り状態に思われていたその人は、
ともすれば、他者のそうした認識によって、
やがては本当に寝た切りになり、認知面が低下したかもしれません。
Sくん:
臨床上少なくない話だと思います。
今回の新人さんのような働きかけは、関わる人みんなにメリットがある、いわゆるwinwinの環境を作り出したんですね。
新人さんのその手間は何倍もの効果を生むかもしれませんね。
*********
いかがでしたか?
意外に多くの方が経験していると思います。
こちらのアクションに対して、反応が悪い場合に
一方的にこの方は認知面が低下している、とか理解が乏しいと判断してしまうことは危険です。
もしかするとこちらのアクションの仕方が悪かったのかもしれない、という可能性も持つことは大切だと思います。
今回の新人さんの関わりによって
患者さんは長く過ごさざるを得ないベッド上での生活で、
時間を知る、というきっかけを作ることができるかもしれません。
今の時間を知り、リハビリやお風呂の時間を知ることで、
あと10分後だから、トイレに行っておこうかな、とか
あと30分あるから少し休憩しようかな、と
自己管理にもつながってきます。
今、何時かも、そして何時からリハビリが始まるか分からなければ
ベッドにいれば眠くなってしまい、
眠りにつく直前でセラピストが
「リハビリでーす」ときても、
心身ともに眠ろうとしていれば
ぼーっとしながらリハビリを行うことになるかもしれません。
そうすればリハビリも積極的に行えず、
反応の悪い患者さんを見て
「この人はいつもリハビリの時眠そうだな」
「あんまりリハビリできないな」
なんてまた間違ったレッテルを貼ってしまい、さらなる悪循環に陥るかもしれません。
時間の管理に関わらず、
患者さんの立場に少しでも寄ろうとする、思いがあれば
今の患者さんが直面している問題を発見しやすくなるかもしれません。
時間の管理に関しては
失語の方で、
8:40という記載であれば理解できるけど
20:40という記載では何時かよく分からない、という患者さんもいます。
居室のリハビリ時間の記載してある紙に
理学療法
14:00〜15:00
と書いてしまうと
その患者さんは結局何時からリハビリか分からなくなってしまうんですね。
でもその方は、
リハビリが何時からかよく分からないけど、あることはその表を見たら分かる。
でも時間は分からない。
そわそわしてしまい、ストレスになる。
イライラしてきた所で、リハビリが始まる。
ただでさえ失語がありストレスを感じ、時間も分からずイライラしてきた所でリハビリ、
ばっちりできると思いますか?
あと最後にもう一つ。
今日自分が関わったことです。
朝一番に
リハビリをする患者さんを迎えに部屋へ行くと
隣の部屋の患者さん(気管切開をしているため声が出せない方)が
洗面台で手招きをしている。
「どうしました?」と行くと、
歯ブラシとコップをとって、とのこと。
その方は、運動失調のある方ですが、車椅子にてADLは自立しているため、
歯磨きも自立、つまり看護師さんや介護士さんは手伝ってくれないんです。
で洗面の歯ブラシを探すと、一番手の届きにくい棚の一番高い、さらに奥にその方の歯ブラシなどを置くスペースがありました。
「ここじゃ届きにくいですよね」
「でもBさんは比較的体も動くし、あたまもしっかりされてるから誰も手伝ってくれないですよね…」
「でも歯ブラシできても、ここ(奥の棚)にあったら、歯ブラシとれないですよね」
「今から、看護師さんに場所変えてもらえないか相談します!」
と担当でもないのに勝手に看護師さんに相談(笑)
その看護師さんは動きが軽いためにすぐに介助で行う他の方と棚の位置を変えてくれました★
午後、その方が担当のPTとリハビリ室に来た時に
『ありがとーーーー』と口パクで笑顔で言ってくれました。
できる、動ける人、と看護師さんから思われているその方は、歯ブラシを取るくらいで呼ぶ、ということに抵抗があったのかもしれません。
そしていつも何とか必死になって歯ブラシを取っていたんだと思います。
3食の食後のたびにそんなストレス。
もしかしたらそれで転倒していたら、さらにその方の自信を奪ってしまうかもしれませんよね。
時間が分かるようにする。
歯ブラシを取りやすくする。
そんな簡単なことでも、患者さんの表情は見違えるかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2)
PTです。
環境設定はとても大切なことだと思います。環境設定一つで、できる動作やことが増えると思ってます。
正直、セラピストとして、あたり前のことでは?と文書を読み感じたのですが…
けど、それができないセラピストが増えている?と考えての文書なのでしょうか。
コメントありがとうございます。もちろんできている人もいますが、そういった配慮や患者さんの言葉にあまり耳を傾けない人もいます。
離床にばかり目が向いてしまい、普段の生活の場であるベッド周囲の環境をあまり意識しない人もいます。
大切なんだけど、当たり前なんだけど、忘れていませんか?という思いで書きました★
そんなこと当たり前だよ、と言える、さらには行動に移せるセラピストが少しでも増えればと思います。